今日は高齢になったペットとの暮らし方についてお話をします。
ご存知のようにペット達はとても早く歳を取ります。
よく獣医さんなどに貼ってある年齢表などを見て、ご自身のペットちゃん達の人間年齢に驚かれる方もいらっしゃるかと思います。
そう、ペット達の時間は思う以上に早いのです。
小さくてコロコロと走り回っていた時期はあっという間に過ぎ、気がつくと
なんだか脚の運びが違う・食べ方が違う・耳の聞こえが違う等々…
年齢や症状は種類や大きさ、環境などによって変わりますが、気がついてあげられるのは飼い主さんですので、どうか体調の変化は気を付けてあげて下さい。
私の飼っていた猫ちゃんの話をさせて頂きます。名前はココ。
あと数ヶ月で20歳と言うところで命の灯が消えました。
そのココは晩年、私に動物が老いるということをたくさん教えてくれました。
私がまだシッターとしても未熟で、ココが16歳を過ぎた頃の話です。
とても食の太い子で、なんでもモリモリ食べる子だったのですが、ドライフードの近くに行くものの、しばらく見つめながら離れていきます。一緒に置いていた缶フード、そちらはよく食べます。食の好みが変わったかなと思い様子を見ていたのですが、ドライフードの前に立つココの姿がどうも気になり、膝の上に乗せ口の中をのぞくと、ぐらぐらの歯がなんかたくさんある。顔を近づけると、臭いも出ていて歯茎が赤くなっています。…気付かなかった。自分が情けない。慌てて獣医のもとへ走りました。
口の中を確認してもらうと、歯茎が腫れ膿も出てかなり可哀想な状態です。
高齢の為麻酔をかけるのはかなり迷ったのですが、このままにはしておけません。すぐに麻酔抜歯をして頂き、抗生剤を投薬しました。他の歯も年齢が進めば同じようになる可能性があるということでココは歯なし猫に…
ワンちゃん達の口腔ケアはお客様にも提言していましたし、自分自身も気を付けていました。ただ猫ちゃんのケアは何故かぽっかりと抜けてしまっていたのです。猫ちゃん達は性格上なかなか口を思うように開いてくれないのもそうですが、❝猫はほとんど虫歯にはならない❞という言葉を鵜呑みにして、口自体をしっかり見てあげることを怠ってしまいました。反省し、色々な本を読んだのですが、やはり虫歯は少ないとされるものの、口腔トラブルはとても多いようです。
顔を傾けながら、マグロ缶フードを美味しそうに時間をかけて食べるココの様子は変わらず可愛かったのですが、ドライフードのカリカリの喜びを奪ってしまったことを深く深反省しました。
そして
犬は猫よりも早く老化現象が現れ、また、老化の速度は大型犬の方が早い傾向にあります。
犬の老化についてお話を進めますと・・・
まず目について
加齢に伴い、水晶体の中心部分が硬化し老眼がさらにひどくなります。霧を通して見ているような状態になることもあります。白内障や緑内障などの目の病気で、飼い主が気がつかないうちに視力を失っている可能性があります。
嗅覚の低下、好きな食べ物をおいても少し匂いを嗅いだだけで離れてしまうことなどはないでしょうか?臭いで食べるイメージのワンちゃん達は食欲がなくなってしまうかもしれません。
老齢性難聴 特に高音が聞こえづらくなるようです。ドッグランやお家で放している時、今までは戻って来ていたのに、反応が悪くなるというのも耳のせいかもしれません。まぁこれについては、聞こえていても戻ってこない子も結構いますので、ご自分の愛犬がどこの位置に居るのかは、飼い主さんの賢明な判断で接して頂ければと思います。
症例をあげだすとまだまだ数限りなくあるのですが、特に気を付けて頂きたい点を二つ
先ず、脚の運びです。
今までひょいと軽く上がれた所に、もたつくようになったり、何かによく引っかかる様になったり、んっ?何か変 という状態に早く気づいてあげて下さい。
今の住宅事情は、多くのご家庭がフローリングを使用し、ワンちゃん達の脚には普段から過度な負担がかかっていることが多いです。若い頃は筋力で頑張ってこられてけれど、加齢とともに厳しくなってくる。ワンちゃん達の脚は前後には動きますが、横には広がらないようになっています。
うちの子は出来る!
と喜ばないで下さい。それは不自然な動きなのです。
痛みを伴い、歩くのさえも苦痛になってきます。症状が進まないうちに対処して頂きたいと思います。
二点目は食事
食事は本当に個体差が大きいです。ゆっくり落ち着いて食べる子もいれば、飲みこむような早食いの子…等
ゆっくりよく噛んで食べる子であっても、高齢犬はふやかしてあげることをお勧めしています。
加齢と共に腸の働きが衰え、栄養吸収が衰えてきます。便は正常でもきちんと吸収されてないことがあります。
こういう話をすると、歯が丈夫でバリバリ食べているのに、やわらかいものをあげたら歯が弱っちゃうんじゃない?
そう思われる方多いかと思います。
口腔内のケアはとても大事です。確かにある程度の固いものを噛む習慣は必要かと思うのですが、それが消化吸収の妨げになっているとしたら本末転倒です。しっかり栄養を吸収させ、歯磨きガムなどの若干硬めのものをかじらせ、ストレスも歯茎も守るというのはどうでしょうか?
私がシッターやホテルでワンちゃんや猫ちゃんをお預かりするとき、特に気を付けて見ているのが排泄物です。
形状・臭い・色 血などは混じってないか? ちゃんと便臭はするか
自分の体調について物言わぬ彼らは、こちらがいち早く察してあげなければならないのです。
高齢の子達は特に気を配ります。
繰り返しますが、彼らの老いはとても早いからです。